1.きものの柄の季節感   
 今夏、浴衣から着物の魅力にはまってしまった着物初心者です。 最近、着付教室にも通いはじめましたが、着物の柄と季節感が今一つわかりません。
 1.季節先取りと言われますが、どの程度の先取りなのでしょうか?  1ヶ月位ですか?
 2.桜は年間通して着ても良いそうですが、梅は着付の先生は春だけ、呉服屋さんは四君子だから年中柄だと言います。
 3.コスモス柄は秋桜だから、年中柄と聞きましたが本当ですか?
 4.洋花柄にも季節の先取はあるのでしょうか?
 5.動物柄(うさぎやふくろう)には季節はあるのでしょうか?

 季節の先取りはどのくらい先までかと言うのは、定量的には答えにくい問題です。
 「季節を先取りする」というのは「季節を後取り?しない」という意味に取られてはいかがでしょうか。
  つまりアヤメが咲く前にアヤメの柄をしても良いが、散った後はアヤメの柄はしない、ぐらいの意味ではないでしょうか。
  季節感だけでなく、きものの常識については現在錯綜しているように思えます。いわば(自称)きものの専門家がそれぞれにいろいろなことを言うものですから、きものの事を余り知らない初心者は振り回されてしまっています。そうかといって、きもののお家元がいるわけでもなく、絶対正しい答えをもらえる人は見当たりません。
 
みんながきものに縁遠くなっただけきものの常識が混沌としてきたように思えます。それまで当然の常識だったことも非常識が半数を超えると非常識が常識のように取られてしまいます。いま呉服業界ではそういった事が頻発しているように思われます。
  きものを全く知らず初めてきものを着る人にとっては(自称)きものの専門家)の言うことは天の声のようにも聞こえてしまいます。
  例えば呉服屋さん。呉服屋さんは職業柄なんでも知っているようですが、わりと知らない呉服屋も多いのです。呉服のことを全く知らない呉服屋さえも見受けられます。
 
また芸能人の衣装にはまいってしまいます。芸能人が着ているからと、真似をする人がいますが、芸能人は特殊です。 また著名人も困り物です。きものにまるで関係がないのにきものを着て登場し平気で非常識を語る人もいます。
  それから着付け人。かれらもきもののことは良く分かっていないのですが、着付けてもらう人は着物の先生とばかり天の声のように聞いてしまいます。
  多くの人の話を聞き、特定の人の言うことに惑わされずにきものの常識とは何かを考えてみてはいかがでしょうか。私も自称専門化の部類ですからそのつもりで聞いてください。
  前置きが長くなってしまいました。 花に関して言えば、もともとはその花が咲く前から散り終わるまでが正式だったろうと思います。四季の区別がはっきりしている日本では花は俳句の季語と同じように特定の季節を代弁するものでした。
  「桜の季節」「菖蒲の季節」といえば特定の季節をさします。それで答えが済むはずなのですが、それですまないのは今日のきものを取り巻く事情によるようです。つまり、季節感のあるきものに縛ってしまうときもの離れが進んでしまうという事情です。
  訪問着を季節の数だけ、持っている人は少ないでしょう。まして嫁入りの為に一枚の訪問着を作るのに特定の期間しか着れないのでは余りに不便だからです。そこで業界では二つの動きが出てきたように思えます。
  一つは季節感のないきものを創ること。花柄ではない柄を置いたり、花であっても抽象化した何の花なのか分からない花を置いたりします。
  もう一つは着る期間を拡大することです。桜は「日本を代表する花」、梅は「四君子」なので一年中着れるとすることです。
  それでも桜は春の花と頑なに言う人もいるでしょう。そのあたりが話を複雑にしています。私も桜の柄は日本の柄なので特に外国で、または外国人とのパーティなどでは着ても差し支えないと思っていますし、お客様にも勧めています。(きもの博物館「桜]参照)
  着物は伝統を踏まえた上で時代と共に変わっていくものですから、そのあたりは時代を見極める必要が゛あると思います。きものは他人とのコミュニケーションの一つです。自分のきものが他人を不愉快にさせることがあってはいけません。
  そのきものをいつどんな時に着るのか。それはその場にあっているのかということも考え合わせなくてはならないでしょう。外国人を招いたパーティでは桜のきものは好感をもたれるでしょう。しかし、秋の茶会に桜のきものを着ては場にそぐわないのはお分かりいただけるでしょう。
  洋花は私は季節感はないと思っています。ただその洋花が日本で市民権を得て季節を代弁するようになれば別ですが。
  動物については分かりませんそれも着る場にあっているかどうかを考えれば自ずと答えが出るのではないでしょうか。
  以上が、自称きものの専門家の答えです。 きものって難しいですね。

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